2018年7月に「カジノ法案」が成立し、カジノの運営が合法となった日本。日本は、もともと海外からの旅行者向け観光大国としてここ10年ほど大成長を続けてきましたが、カジノ法案成立はこれにどのように影響を与えるでしょうか?話題のIR
(インテグレーテド・リゾート)施設建設により、さらに多くの海外からの観光客を呼び込めることになるのでしょうか?
実に100年以上ぶりに、ギャンブル合法となった日本
2018年にカジノ運営が合法化されました。1907年に刑法第23章によりギャンブルが禁じられ違法とされて以来、それが守られてきた日本では、これは実に大きなシフトと言えます。もちろん、全てのギャンブルが禁止されてきたわけではありません。その中でも、許されてきたギャンブルのカテゴリーはあります。宝くじ、競馬などは、「公営ギャンブル」という位置付けで、老若男女ほぼ問わず、根強い人気を誇っています。また、日本で最も一般的なギャンブルとなっているパチンコも大人気で、人口の7.5%の人がプレイしており、年間2000億ドルと推定されているほどです。最近では遊雅堂のような、オンラインカジノも浸透してきています。
日本はカジノのない観光大国
近年の日本へ訪れる観光客数の増加は、目をみはるものがあります。直近10年足らずの間に、その数は2290万人も増加しました。これは、アジア太平洋地域の国では3番目に多い観光客数です。カジノがあるマレーシアやマカオよりも人気が高くなっています。諸外国では日本国内と事情や文化が違い、カジノの敷居は低く、広く一般的に受け入れられています。ラスベガスやマカオ、香港といったカジノで有名な旅先はもちろんのこと、特にカジノの印象がないアメリカやイギリスといった国々でも、実はカジノは存在し、気軽に足を運べるエンターテイメントの一つとなっています。
このように、日本には世界の多くの観光客が求めるカジノリゾートが存在しないにも関わらず、旅先としてここまで人気を博しているのは、純粋にその文化が魅力的に映っているからであり、日本人としては胸を張れることでもあります。一方、ビジネス的な観点から考えると、ここにさらにカジノリゾートの要素が加われば、向かうところ敵なし状態になれるのではないか、ということです。日本での統合型(IR)リゾートの導入は、日本にとって一大決戦となる可能性があります。日本はすでに、ここ数年で約3000万人もの外国人観光客を受け入れており、統合型リゾートの潜在的な存在は、その数を大幅に押し上げる可能性があります。
統合型リゾートの導入は、東京・大阪以外の都市のナイトライフを盛り上げる
統合型リゾートの導入は、日本の経済だけでなく、ナイトライフにも大きな影響を与える可能性があります。日本には、東京のような都市には何百ものホステスクラブ、バー、レストラン、ナイトクラブがあり、すでに非常に活気に満ちた多様なナイトライフ・シーンがあります。アルコールがNGの旅行者も楽しめる、カラオケやボウリング場、ゲームセンターなども充実しています。また、関西ならば、大阪があります。大阪も東京同様、バー、ナイトクラブ、パブなど、外国人向けのものも含め、非常に活発なナイトライフを持つもう一つの都市です。ただ、他の都市はこの2つの街に比べるとやや盛り上がりにかけるのが実際の現状です。統合型リゾートホテルやエンターテイメント施設のような多くの新しいビジネスが、こういった都市周辺にオープンすることによって、地域のナイトライフは活性化され、その空白を埋めることができます。菅首相も、そういったリゾート地は、国際的な観光客にとって大きな魅力になり、国の経済に大きなメリットをもたらすだろう、と述べています。